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繊維to繊維リサイクルの実現に向けて~ポリウレタン弾性繊維除去技術編

最近、ストレッチが効いた衣料が多くなってきたと思いませんか。着心地もよく、動きやすいので、スポーツ衣料だけでなく、ファッション衣料や肌着などでも一般的になっています。そのストレッチ性を出すために、よく使われているのが、ポリウレタン弾性繊維です。少量入れるだけでもストレッチ性が発現します。今回は、ポリウレタン弾性繊維が含まれる製品をリサイクルする際の課題や、解決策を検討するに至った理由をお伝えします。

リサイクル加工時の課題

不要となった衣料品などは、分別回収されると、リユース、リセールされたり最近ではリサイクルされることも多くなってきました。リサイクルには 「反毛」と呼ばれるマテリアルリサイクル、化学処理をするケミカルリサイクルという加工方法があります。「反毛」の代表的な用途としては自動車内装材などですが、ストレッチ性のある生地は伸びてしまうために 反毛加工するには適していません。
また、ケミカルリサイクルの工程でも、ポリウレタン弾性繊維が混じる(単一素材ではない)と ケミカルリサイクルにも適さないのです。そのため、今までは、廃棄、焼却されることがほとんどでした。

廃棄される服を少なくするために

快適なストレッチ性をもちながらも、不要になった際には、リサイクルされず廃棄せざるを得ない大量の衣服。現在、幅広く使用されているポリウレタン弾性繊維が入った製品をリサイクルの対象として受け入れることができないかと、私たちは研究開発を重ねてきました。2023年4月、ポリエステルのケミカルリサイクルの前の工程で、新たな処理剤を用いることで、ポリエステル衣料品からポリウレタン弾性繊維を分離除去できる異素材除去技術を開発しました。この技術によってケミカルリサイクルの受け入れ対象範囲を広げることができます。この前処理工程で衣料品の脱色も可能となることから、効率的なリサイクル工程を構築することができます。

2022年10月から、異素材除去技術の実証試験を実施しており、資源循環と省エネルギーを両立するリサイクル技術の確立に向けて改良を重ねています。

 

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